2024年11月01日
Steinberger BASS, Guitar JAW Claw's
crossorigin="anonymous">
平素より多くの Steinbergerのメンテナンス依頼や相談が寄せられます。
数あるご相談の中から、今回は、BASS (XL.L.XM.XP,,,,など) のブリッジ事案より、"JAW Claw's" について。
Guitarと比較して、ストリングスのテンションが高いBASSにおいては、Bridgeへの負担、とかく "Jaw" への負担は強く、想像するに値する程の負担が生じます。
当然、ハイテンションの負荷が生じたままで時が経てば、金属製物質である"JAW"にも経年劣化が加わって、摩耗・消耗が進み、結果として腐食やクラックが生じ、最悪の場合には完全に砕けてしまいます。
これを消耗パーツと捉える事で、"Jaw"の交換。と成ってくる訳ですが、、、。
今回は、その"Jaw”について掘ってみます。
これまでにも、数え切れない程の "Jaw"交換に携わり、その工程にて、様々なリプレイスJAWを見たり、実際に触ったりして参りました。
皆様、色々と考えられる様でして。 割れてしまうのであれば、硬くすれば良いじゃ無いか!! とか。
形状に変更を加える事で、ストリングテンションに対抗しよう!!! などなど。
その試行や思想は千差万別です。
それに対して、弊社の考え方を。
そもそも、ストリングスとダイレクトに触れ合う"Jaw”は、音色の一端を担っていると言う解釈に基づいて捉えています。
つまり、"Jaw"の素材構成により、音色に変化が生じてしまう。
この様な解釈が最もフラットに感じます。
こと、割れない様に、壊れにくい様に、と言う意味合いだけで考えますと、粘りのある金属で、強度・耐久性がある。
これが求められる答えであろうと捉えます。
ここで大切なのが、「 硬い事と、割れない強度を持ち得ると言うことは同じでは無い」と言うことです。
ただ硬いだけの金属は、一定の負荷を超えた瞬間に、変形する事なく、粉砕や亀裂などにより壊れてしまいます。
この事はオートバイなどのパーツ毎に素材が異なったりする事と同じ様な考え方なのかなと感じたりしています。
剛性などの負荷の掛かる場所に、硬い金属は持ちいらない。それと同様の考え方です。
硬い素材は、一定の負荷を超えると、いとも簡単に砕けてしまいます。
つまり、チタニウムやそれ相当の硬質素材は、最初から”JAW”の素材としては不向きであると捉え、対象より外しました。
強度以外の問題として、そもそも、出音が硬く成ってしまう。と言う、楽器の音色として根本的な部分の相談を幾度も受けていた事も、その背景にあります。
そこで具体的な候補に挙がってくる素材は、鋼鉄やSUS3等のステンレス素材などに成ってきます。
“Jaw”は、ストリングスと接する一方で、Biridge側では全ネジと結合する事で、Tunerの一端を担っている関係上、双方の素材との相性や相互性などの兼ね合いも出てきます。
様々な見地より導かれた最終的な答えは、鋼鉄。
つまり、鉄の内部に含まれる炭素量が少ない素材に成ります。
鉄に温度を加える事で、鋼の硬質化や強度、耐食性や耐疲労性の向上が得られる上、表面の仕上げも、オリジナルであるBlackに仕上げやすく、尚且つ鉄独特の柔らかさ(しなり)も兼ね備えます。
この際、どのくらいの温度で、どの程度の時間加熱するかによって、素材内容は大きく変わってきます。
これらの試験を繰り返し、最適な製法を導き出すと言う、何とも地道な作業でした。
つまり、金属は柔らかい。
当時のSteinbergerファクトリーオリジナルSizeのデーターを元に形状を復元し、さらにより耐久性とより柔軟強度の高い素材構成に加え、特殊な製法にてブラッシュアップされた逸品に仕上げられたモノと自負しております。
気になられた方、交換を検討されていた方。
お気軽にご相談頂けます。
☎︎03−3702−3355
Wakuya