2024年10月31日
Steinberger Vintage Saddle Roller Shaft / Overhaul Maintenance スタインバーガー 修理
平素より多くの Steinbergerのメンテナンス依頼や相談が寄せられます。
その中でも最も多い事案は、 ”Bridge "のメンテナンス依頼です。
Bridgeの動作不良や不安定感など、その原因として多く見られるトラブルの修復作業の中から、ほんの一部にはなりますが、メンテナンス作業風景をご紹介してみたいと思います。
そもそも論ですが。
その誕生より数十年もの月日が経つ事で起こり得る、金属パーツ部分の経年劣化による金属疲労と腐食。
オイルやグリスなどで、表面的に油分を含ませていても、大気中の水分と酸素により生じ得る、
防ぎ用の無い物質的な劣化は否めません。
特に、複数のパーツで構成されているSteinbergerのBridgeの中でも、影響を受け易い箇所。
それが、"Saddle" です。
腐食して色が変わり果て、ホコリ等を抱き込んでしまった状態の、残念なサドルを目にされた事がある
オーナーの方も多いのでは無いでしょうか。
特に、Rollerの変色や変形に、ゲンナリとされた方も多いはず。
緑青が噴いて油で誤魔化された状態は、古くなった10円玉を思い起こさせます。
SteinbergerのSaddleは、Saddle本体に設けられた凹状の窪みに、Roller が設置されており、
この動きにより弦とSaddleの間で生じる摩擦やテンショントルクの管理の役目を果たしています。
特に金属製のRollerは、小さなShaft によって支えられ、この Shaft を中心に Rollerが回転する応力で
弦の余計なテンションを逃す事により、Bridge本体の動きを滑らかかつ、繊細に保っています。
この要の箇所を完全にオーバーホールして行きます。
これまでに様々な年代のSaddleを相当数施工し組直してきましたが、今回は80'sのBrass Rollerです。
まずは、完全に分解し、ホコリと共に蓄積した油脂や水分、汗などを完全に洗浄します。
その後、Roller 部分のクリーニングと、研磨で形状を整え、最後にポリッシュを行います。
*手前の2つが施行前。奥側の4つが施行途中のRollerになります。
施工を終え、組み上げる前の状態です。
Rollerは元より、実は、この小さなShaftには細心の注意を払います。
借り組をした状態で、ローラーの当たりを取り終えたら、微妙なテーパードのShaft向きを合わつつ、
専用のジグでセンター出しをしながら組み込み、圧入をした後、最後にエンド位置をカシメて行きます。
この際、最も繊細で気を使うのが圧入作業です。
センターを出しながら、微妙なテンションで少しづつ圧入します。
時間と集中力とのせめぎ合いが繰り返され、意外にも時間を要する作業です。
山の様に種類のあるケミカルの中から、状態に応じて一番適合するであろうグリスやオイル類をチョイスして、最高の動作状況をもたらすSaddleへと仕上げていきます。
同様に、完全にオーバーホールを行なった後の T-Trem Bridgeへ戻すべく搭載し、Guitatr全体を組み直して行きます。
*Bridge本体のオーバーホールは、複数の部位に分別するところから始まり、個々に並行して作業を行っていきます。
その工数たるや、毎回、気が遠く成る程の手間を要します。
Bridgeの状態如何により、それらへのアプローチは全く異なった工法を用いる為、作業毎に新たな発見をする事も多く、
オーダーを頂く皆様の熱意が、我々のノウハウの蓄積と技術力の向上へ繋がっております。
本当に有難く、また、その期待に応えるべく邁進し続けてこれています事も、一重に支えて下さる皆様のお陰に他ならぬという感謝の思いが募ります。
数ある工程の中から、ほんの一部分には成ってしまいますが、普段はあまり目にする事の少ない、施工模様の概要について、一部では有りますが抜粋し御紹介させて頂きました。
和久屋では、個々の特性や状態に併せて、徹底したメンテナンスや修理を施す事が可能です。
興味を持たれたオーナー様。気になっている箇所があるプレイヤーの方。修復施工などにお困りのショップ様やメンテナンス業の方々。
お気軽にご相談頂けます。
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